コラム
営業ヒアリングで絶対に確認すべき必須項目8選

いい家創り応援ネットの半澤です。

この記事を書いているのは2023年2月下旬なのですが、今まさに関西エリアでの営業代行で非常に忙しくしています。

久しぶりの都市部ということで来店するお客様は注文新築住宅以外にも、建売や中古やマンションの購入も視野に入れている方が非常に多いのが特徴です。

そのため会話の内容や営業ツールは多少のアレンジをしていますが基本は都市部であろうと地方であろうと変わりません。とくにヒアリングについては、全国どこのエリアでも、どのような価格帯でも、どんな商品でも変わることはありません。

しかもヒアリングする項目自体は目新しいものではなく、営業経験者なら「当たり前」と感じるものばかりなはずです。しかし漏れ抜けなくヒアリング出来ている人は意外に少ないように感じています。

そもそもなぜ住宅営業はヒアリングが大切なのか?それはヒアリングの質が成約率を高めるからです。

ちなみに私はヒアリング項目がすべて明確になっているので、聞くべき項目を順番に漏れ抜けなく聞くようにしています。それが契約率を高める近道なのです。

以前私が教えたヒアリング項目を一覧にしたシートを手元に置きながらヒアリングをしていた営業未経験の子育て中のママだった女性は、毎年10棟以上の契約を達成出来るようになりました。

そこで今回のコラムでは私の鉄板ヒアリング項目から、もっとも基本的で重要な8つのヒアリング項目とその解説を公開していきますので、ぜひ最後までお読みください。

項目1:建築理由「なぜ家を建てるのか?」

人が何かを購入する裏側には必ず理由があります。これは購買動機と呼ばれるもので衝動買いであっても無意識下の動機は存在します。

当然、住宅購入を考えている背景にも何か理由が存在するはずです。営業の第一歩はその理由を把握することですが、厄介なことに大多数の来場者は住宅営業に対して簡単に本音を語ってはくれません。

ではどうすればよいのか?

人は誰でも自分のことに興味を持って真剣に話を聞いてくれる人を信頼するものです。だからこそお客様は「なぜ住宅購入に興味を持ったのか?」「どうして具体的な家づくりを検討することにしたのか?」プロセスをきちんと踏んで、真摯に話を聞いてくれる営業スタッフにはポロっと本音をこぼすようになります。

にもかかわらず営業スタッフの中には、警戒するお客様の様子を見て「あのお客様の態度はきっと冷やかしに違いない」と勝手に決めつけて、しっかりと話を聞かない人もいます。

ぜひそっけなく見えるお客様であっても「家づくりをお考えですか?」「新築をお考えですか?」と一歩踏み込んで聞いていきましょう。その一言が突破口を開いてくれるはずです。

項目2:入居希望時期「いつまでに家が欲しいのか?」

建築理由が明らかになった後は、いつまでに実現したいのか?という購買時期を明確にしていきます。

お客様は「子供の小学校入学までに」といった具体的な希望時期を持っている人と、「いずれ良い物件があれば」と漠然としている人が混在しています。

営業のなかには建築時期を聞くことに対して「お客様を急かしているように感じる」「営業されているというプレッシャーを与えるのではないか」という理由で避けている人が存在しています。

しかしこれは大きな間違いです。

時期が決まらないと人は本気で考えないし行動もしません。さらにお客様は入居までに何にどのくらい時間がかかるのかを知らない場合があります。

だからこそ入居希望時期を明確にして、いつまでに何をするのかというロードマップを提案することこそが営業の仕事になるわけです。

もちろんなかには本当に希望時期が未定だったり、数年先の方もいます。その場合でも言葉をそのまま受け取るのではなく、誰もが納得できる理由かどうかを必ず確認するようにしてください。

項目3:資金「予算はいくらなのか?」

予算はもっとも大切な項目であり、予算が明確にならないと家づくりは進みません。だからといってあせってお客様に予算を聞いてはいけません。

なぜならお客様は正確な知識にもとづいて予算を決めているわけではないからです。

予算を聞かれても「年収から逆算すると…」「将来が不安だから少なく言っておこう」「舐められないようにちょっと高く伝えておこう」など、様々な理由から根拠のあいまいな金額を答えることがほとんどです。

だからこそ住宅営業はお客様の希望予算をうのみにするのではなく、お客様にとって最適な資金計画を提案することが仕事になるわけです。

もう一つの注意点

そしてもう一つ注意すべきことは年収を聞くことのハードルの高さです。特に日本人は人にお金の話をすることに対する抵抗感が強く、年収は非常にデリケートな問題です。

私は年収を教えてもらえるかどうかをお客様の警戒心が解けたかどうかのテストクロージングだと考えています。

また自己資金については、年収を教えてもらえていれば問題なく聞くことができるはずです。ここで注意すべきことは自己資金の出所をしっかりと把握することです。なぜなら自分で貯めたお金なのか?それとも両親からの援助によって今後の営業戦略に影響が出るからです。

項目4:差別化「なぜ当社なのか?」

差別化と聞くと「競合他社と比較しての自社の強みを伝えること」だと考える人もいます。しかしそれは正解ではありません。

差別化とは当社を選んだ場合のお客様にとってのメリットを明確にすることです。競合が残っているということは、自社が提供できるお客様のメリットが弱いまたは伝わっていないことが原因です。

だからこそ住宅営業はお客様のメリットを分かりやすく、伝わるように伝える必要があるわけです。

お客様の判断基準

ではお客様が競合ではなく、自社を選ぶ理由はどこにあるのでしょうか?

仕様?価格?デザイン?保証期間?など、様々なアピールポイントがあると思います。しかしこのアピールポイントを伝えるだけで差別化が完了するわけではありません。

なぜなら競合他社の話を聞くと、そのうちの1つか2つはひっくり返されてしまう可能性があるからです。これがいわゆる「競合潰し」です。

ではどうすれば差別化に成功するのか?

その一つが「なぜこのポイントが自社の強みなのか?」そしてそれが「どのようにお客様メリットにつながるのか?」を理解できるように伝えることです。さらに「あなたには将来を含めた良い家づくりをして欲しい!その想いはどこの誰にも絶対に負けません!」という信念を伝えることが個人的な信頼という圧倒的な差別化につながるので、ぜひ自信をもって自分の想いを伝えましょう。

項目5:土地「どこに建てたいのか?」

建築地が決まらないと家づくりは進みません。とは言えお客様の「土地はあります」という言葉をうのみにするのも危険です。また一方で「土地はありません」と言われても落胆する必要もありません。

大切なことは必要な情報をしっかり漏れ抜けなくお聞きして、最適な提案をすることです。ここからは土地の有り無し、それぞれでやるべきことを確認していきましょう。

【土地あり】

「建築予定地が有る」と言われても注意が必要です。特に親の土地の場合は慎重に進める必要があります。プランが決まった後に親の同意が得られていないことが発覚して話が振り出しに戻る……という話はよく聞きます。ちなみにまだ土地は購入出来ていないが、あとは土地の契約や決済を待つだけという場合は「土地が有る」という扱いになります。

「土地が有る」と聞くと安心するのか、焦るのかは分かりませんが、すぐに「場所はどこですか」と聞いてしまう住宅営業が多いようです。しかし場所の確認をする前に(もちろん後でも構わないです。あせらずに、という意味です)「なぜその場所に決めたのか?」という理由を明確にする必要があります。

親の土地でも、自分で購入した土地でも、土地の購入理由から家づくりへの考え方やこだわりが見えてくる場合があるからです。単純に土地の場所を聞いて終わらせないようにしましょう。

【土地無し】

土地を購入するための資金も必要となるため、資金的な余裕がなくなる場合もあります。一方でエリアや建物の大きさなど、土地建物の総額での調整がしやすいというメリットもあります。

また営業サイドから見た場合は「土地を決めれば建物の契約もほぼ決まる」という意味で、受注までにやるべきことも明確になり対応しやすくなります。だからと言って土地探しばかりするような不動産業者になってはいけません。お客様は家を建てるために来店したのであって、土地を買いに来たわけではないのです。

「土地さえ決めれば建物も契約できる」という気持ちは、必ずお客様に伝わります。お客様が信頼するのは、真摯に家づくりのための土地探しと言う観点で考え、行動してくれる営業スタッフです。土地が無いお客様こそしっかりと家づくりの話をする必要があります。

項目6:競合「他社のどこが気に入っているのか?」

差別化の項目でも触れましたが差別化ポイントをしっかり伝えられていれば、そもそも競合は発生しません。ではなぜ競合を把握すべきなのでしょうか?

それは競合を知ることによって、お客様が自社に対して満足していない点を知ることができるからです。競合他社で聞いた「あんなこと」や「こんなもの」を自社に求めているケースはよくあります。

絶対にNGな行動

そして間違っても競合を“つぶす”ことは絶対にやってはいけません。気に入っている会社を悪く言うような営業スタッフに大切な家づくりを任せたくはないからです。競合が出てくる裏側には、まだお客様を満足させきれていない部分があるのだと考えなければなりません。

またお客様が「競合はありません」と言っていたのに実は他社で話が進んでいた、ということは住宅営業のあるある話です。だからこそ「競合はない」と言われた時こそ注意して、その裏側の意味をよく確認するようにしてください。

もちろん「他社から営業を受けたけど、今はもう興味がない」のであれば問題はありません。しかし「他に気になっている会社があるというとあれこれしつこそうだから言わない」という場合もあります。競合の有無については言葉をそのまま受け取るのではなく、その裏側の意図にまで気を配るようにしましょう。

項目7:家族構成とキーマン「誰が誰のために建てるのか?」

間取りも仕様も決まっていよいよ契約……と思った矢先に「実は両親から反対されています」といって契約延長になる経験をした人もいると思います。これは誰が決定権者やキーマンなのかを把握してなかったために起こる悲劇です。

夫婦の間でもご主人と奥様のどちらに主導権があるのか?または上記のように住む人以外(ここでは両親)が主導権を握っているケースもあります。他にも「誰が」ではなく「誰のために」で家づくりが決まる場合もあります。例えば土地や間取りは「お子様のため」という場合です。

キーマンの定義

つまりここでの「キーマン」は、一番意見を言う人や決定権限を持っている人ではなく「家づくりにおいて主導権を握っている人」という意味になります。表には出てこない「物言わぬキーマン」の存在に注意しましょう。

それともう一つ、確実に確認してほしいことがあります。それが入居する家族構成です。今の世帯(例えば夫婦2人と2人の子供の4人)のままなのか?それとも将来を含めて両親との同居を考えているのか?その結果次第では、土地選びも建物の大きさや間取りも変わってきます。

的外れな提案をして「この営業の人は分かってない」と信頼を失わないためにも家族構成とキーマンはしっかりと把握するようにしてください。

項目8:プラン・見積り「どのような家に住みたいのか?」

プランがなければ見積りも出せない。見積りが無いと契約が出来ない。だからプラン制作をする。これは「お客様のためのプラン提案」ではありません。営業が契約したいがためのプランであり、信頼を得ることはできません。

お客様から信頼を得て契約につながるプランとは、お客様が快適に暮らすための家を形にしたものです。例えばお客様の要望をすべて取り入れると予算的に家づくりが難しくなる、住みにくい家になる場合は、住宅のプロとして取捨選択をしたり代案を盛り込んだプランをつくる必要があります。

そしてお客様にプラン提案する際に最も重要なことは「お客様がその家での生活をイメージできるように説明すること」です。

ただ平面図や立面図などを手渡すのではなく、なぜこのプランになったのか?建築理由にまで遡って説明しましょう。

「お子様が遊んでいる姿がキッチンから見えるように・・・」

「家族のコミュニケーションがたくさん生まれるように・・・」

「奥様が家事をしやすいように・・・」

など、お客様が入居後の生活イメージをありありと感じられるような説明をしなければ、プランに価値を感じてもらうことはできません。

大切なのはお客様に「ここまで私たちのことを考えてプランを作ってくれているんだ」と思ってもらうことで信頼を得て「わがままを言うより任せよう」という気持ちになってもらうことです。

その他にも入居直後の生活だけではなく10年後20年後のことまで考えたプランを作成し、その想いや配慮を伝えることも有効です。

そこまでして初めてお客様は真剣に住宅購入を考え始めます。同時に「この家はいったいいくらになるんだろう」と本気で考え始めます。

だからこそ良いプランと同時に見積りを提出する必要があります。たまに「競合がいるのでプランは提出したが見積りは出していない」という話を聞きます。でもそれはお客様を信じていないということです。信じていない相手から信頼されることはありえません。

プランと見積りまでの対応がしっかりできていれば、競合は怖くないはずです。自信をもって見積りも提案しましょう。


いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介したヒアリング項目ですが、量的には私が普段の営業で活用している項目の1/4くらいですが、重要度は高い項目になっています。

もしあなたがより確実に契約するために

  • 残りのヒアリング項目も知りたい!
  • なぜその項目をヒアリングするのかの意図
  • どのようにお客様に声がけするのか?
  • 正しいヒアリングの順番

などを知り、売れる営業スタッフと同レベルのヒアリング力をより確実に身に付けたい場合は、コンサルティングや『受注ステップマップ』研修をご依頼いただければと存じます。ご要望によってはロールプレイングなども実施しております。