コラム
住宅営業も知っておくべき集客の基礎知識

いい家づくり応援ネットの半澤です。

工務店の集客トレンドは時代によって変わってきていますよね。例えば、チラシ → 小冊子プレゼント → ウェブ → SNS …… 最近はYouTubeやTik Tokなどの動画やジオマーケティング(地理情報を活用したマーケティング)など、さらに細分化してきています。

そのすべてを押さえる必要はないですが、住宅営業もスマホとSNSの登場による消費者の購買行動プロセスの変化は押さえておくべきです。この変化はコロナによって加速し、決定的となりました。

具体的には、この数年で集客導線は変わり、営業の役割も変わりました。

お客様は来場する前にある程度の比較検討が終わっています。ということは住宅営業が伝える内容や提案も変わっていなければならないはずです。

若い住宅営業は肌感覚で分かっているようですが、言語化できる人は少ない印象です。ちなみに若くしてプレイングマネージャーとしてバリバリ活躍している人は、このあたりの勉強と実践をしていて、マーケティング戦略立案もしています。

一方で私はよく『10歳離れていたら宇宙人』と話していますが、40代以上の住宅営業スタッフの中には、一昔前の考え方ややり方を続けている人がいますが、30歳前後の若い世帯がメインターゲットの場合はほぼ営業成績が悪いのが現実です。

この原因は消費者の購買行動プロセスを理解していない、つまり知識をアップデートしていない=勉強していないことです。

ということで今回は住宅営業でも知っておくべき集客と消費者の購買行動の基本的な考え方をお伝えしていきます。

消費者の購買行動プロセス

1.AIDMA(アイドマ)

1920年代アメリカ人のサミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された概念。日本では最も基本的な購買行動プロセスを説明するモデルです。

特徴はお客様の購買行動を3つの段階に分類している点になります。

まずはお客様が商品を知る「認知」段階、次に商品に興味を持ち、欲しい!という気持ちを抱く「感情」段階、最後に購入する「行動」段階の3段階です。

見学会の折込チラシやポスティングをイメージすると分かりやすいと思います。チラシをパッと手に取ることで見学会があることを知る。チラシの中身を読みことで興味を持つ。そして予約の電話をしたり、当日に来場する。という流れになります。

2.AISAS(アイサス)

インターネットの登場により、お客様は多くの情報を簡単に手に入れることができるようになりました。当然、お客様の購買行動も変化していきました。

AIDMAと比較するとDesireがSearchに変わり、MemoryがShareに変わっています。つまり商品やサービスに興味を持った後に、「インターネットで比較検討する」こと、そして購入後に「シェア=共有」することが特徴になります。

つまり購入したお客様の口コミや感想をもとに、見込み客が比較検討するようになるという変化が起きました。

これは「売って終わり」の商売の終焉でもありました。購入したお客様の感想や口コミが良ければ売上アップに、悪ければ売り上げダウンにつながり、最終的に倒産にもつながりかねなくなったわけです。

モラルの高い会社や一早く気づいた会社は、顧客満足度やアフターフォローやお客様とのコミュニケーションに力を入れるようになっています。

3.SIPS(シップス)

SIPSはSNSを前提とした購買行動モデルで、2011年に大手広告代理店である電通が提唱しています。

最大の特徴は行動=購入がなくなり、しいていうならParticiapte(参加する)が行動に近いステップになっている点です。

具体的には、「いいね!」「リツイート」「高評価」「チャンネル登録」「コメント」などを指します。

そしてこの参加者は4つのレベルに分かれます。

・ゆるい参加者:いいねや高評価、フォローやチャンネル登録など

・応援者(ファン):購入する、会員登録する、など個人情報を提供した人だと思ってください

・支援者(ロイヤルカスタマー):会員の長期継続、リピート購入など長期間、複数回の取引のあるお客様という意味になります

・伝道者(エバンジェリスト):会社や商品を積極的に他人におすすめしてくれる人、紹介者のことです

伝道者が増えれば、広告などの新規顧客コストをかけることなく優良見込み顧客が増え続ける理想的な集客導線が構築できるわけです。

4.DECAX

DECAXはコンテンツマーケティングを前提とした購買行動モデルです。コンテンツマーケティングとは、自社サイトのブログやオウンドメディアなどを通じてお役立ち情報(コンテンツ)を提供することで、お客様を獲得するマーケティング手法です。

最大の特徴はDiscovery(発見)です。GoogleやYahoo!に検索キーワードを入れて情報を調べたときに、自社のサイトや記事を上位に表示してもらい、発見してもらうことをイメージしてください。具体的には、SEO対策で自社サイトのブログ記事を更新することが該当します。

その記事や提供されている情報の量や質を見て「信頼できる!」と思ってもらうことで資料請求や来場に近づくことができます。

5.まとめ

ここまで4つのモデルを紹介してきました。それぞれのモデルは

・AIDMAはマスマーケティング

・AISASはインターネット

・SIPSはソーシャルメディア

・DECAXはコンテンツマーケティング

に対応していることを覚えておいてください。

また上記で挙げたほかにもAIDA、Dual AISAS、ULSSASなどさまざまな購買行動モデルがありますが、まずは上記の4つを押さえておいてください。

デジタルマーケティング

トリプルメディア

インターネットが登場して生まれたデジタルマーケティング時代に、消費者とつながる方法を3つのメディアに分類して体系化した概念になります。

広告宣伝戦略を検討する際には、どのメディアを活用するのかを意識することが非常に重要になります。

1.オウンドメディア

自社が保有するメディア=自社サイトだと思ってください。

メリットは、自分たちで考えて狙ったブランディングや顧客教育をすることができる点です。

デメリットは、すぐに結果が出ないことと、情報発信を続けるための運営リソースが必要になる点です。会社によっては外注したり、ボランティアライターを育てている会社もあります。

2.ペイドメディア

お金を払って広告を出稿するメディアのことで、GoogleやYahoo!などに広告出稿するイメージです。

メリットは、すぐに結果が分かることです。結果が分かれば改善もすぐ出来ます。どのようなビジュアルやメッセージだと反響を獲得できるのか?その積み重ねこそが会社の資産でありノウハウになります。

デメリットは、広告費がかかることです。

3.アーンドメディア

SNSや口コミサイトなど消費者の情報発信により成り立つメディアだとお考え下さい。アーンドとは「評判を得る」ことであり、消費者の良い口コミを通じて評判や信用を得るという意味になります。

メリットは、消費者自ら情報発信してくれることと、その情報に対する信頼の高さです。

デメリットは、会社側でコントロールできない点です。つまり悪評や悪い口コミが増えてしまうとブランドの毀損や来場者の減少、最終的には事業の継続が難しくなる自体に陥ることも考えられます。

まとめ

今回紹介したモデルや概念はあくまで基本的なものであり、知っただけでは意味はなく、行動しないと成果は出ません。

しかしブランディングや集客戦略を考えるときに精度を上げる、そして現場の住宅営業がお客様をより深く理解して、効果的な営業活動をおこなうために意識する必要があるのは確かです。

新人営業にはここまで求めなくてよいかもしれませんが、指導する上司やプレイングマネージャー層は今回の内容をしっかり把握して、集客戦略や営業活動や部下の指導に取り組んでくださいね。