住宅営業ヒアリングの本質 と ヒアリングツール

いい家創り応援ネットの半澤です。

2020年の終わりから約5年強、50本以上のコラムを執筆してきました。その中で、これまでで一番読まれていて、今なお継続して読まれつづけている記事があります。

それが住宅営業のヒアリングに関する記事です。

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この記事を読んで実践した営業の方からは、「何を聞けばよいのか、ようやく分かりました!」「信頼してもらえるようになってきたと感じています」「次回アポ率も良くなりました!」という声もいただいています。

しかし、営業代行や研修で現場を見ていると、ある共通点に気づきます。それが「項目は聞けるようになっている。しかし、本当に必要な情報までは聞き取れていない」ということです。

ここに、トップ営業とそれ以外を分ける決定的な差があります。そこで今回は、その「深さ」の正体について、構造的に整理していきます。

目次

ヒアリングには縦の深さがある

ヒアリングという言葉を、私たちは日常的に使っています。しかし、その本質をどこまで理解しているでしょうか。多くの場合、ヒアリングは「要望を聞くこと」「条件を確認すること」と捉えられています。しかし住宅営業において、それは入口に過ぎません。

ヒアリングとは、情報を集める行為ではなく、お客様の心理を一段ずつ前に進めるプロセスです。私はそれを四つの段階で整理しています。それが、注意確認・興味提案・欲求理解・行動納得の流れです。この順番は営業トークの流れではなく、お客様の内面の変化に合わせて設計しています。

もう少し具体的にお伝えしていきます。

STEP
注意確認

ここでは警戒心を取り除くことが目的になります。モデルハウスに来場したからといって、営業に心を開いているわけではありません。売り込まれるのではないかという緊張を抱えています。ここで安心感を提供できなければ、その後の提案は届きません。

STEP
興味提案

ここでは商品説明ではなく、「自分に関係があるかもしれない」と感じてもらうことが重要です。興味が芽生えると、お客様の姿勢が変わります。受け身から主体へと移ります。

STEP
欲求理解

ここでは感情が動き始めます。理想の暮らしを具体的に想像し、「自分がその家に住む」というイメージを持ち始めます。検討から自分事へと変わる瞬間です。

STEP
行動納得

論理的に正しいと理解することではなく、「よし、進もう」と自ら決める状態です。ここに到達して初めて、契約という行動が自然に生まれます。

ヒアリングの深さとは、この四段階のどこまで到達できているかという問題です。前回の記事でお伝えした8つの項目ごとに4段階の深さがあると考えてください。

ではここからは2つの項目を例に挙げて、もう少し詳しく見ていきましょう。

具体例① 建築理由の深さ

建築理由はヒアリングの中心です。しかし多くの営業は、「狭いから」「古くなったから」といった表面的な理由で止まってしまいます。それらは現状への不満であり、未来への意思ではありません。住宅という高額商品を購入するには、悩みの解消だけでなく、前向きな動機(理想の未来)が存在するはずです。

ヒアリングの深さとは、その動機にどこまで近づけるという意味でもあります。

STEP1 建築意思を確認する(注意確認)

モデルハウスに来場されたお客様を前にすると、営業は無意識に判断を下します。「本気だろう」「まだ先だろう」。しかしその決めつけが、ヒアリングの深さを制限します。

一見消極的な態度の裏には、警戒心があります。営業に対する防御反応です。ここで営業が距離を取れば、心は閉じたままです。まずは「家づくりをどうお考えですか」と誠実に確認し、向き合う姿勢を示すことが重要です。

確認段階で信頼の土台を築けるかどうかが、後の深さを決めます。警戒が解けて初めて、本音が見えてきます。

STEP2 建築理由を具体化する(興味提案)

「なぜ家を建てたいのですか」という問いは単純に見えます。しかし多くのお客様は、「いずれは」「2~3年後に」と曖昧に答えます。ここで終わらせてしまえば、その後の提案は想像に基づくものになります。

住宅は衝動買いではありません。必ずきっかけがあります。ただしそれは整理されていないことが多い。ヒアリングとは、その曖昧な動機を一緒に言語化する作業です。

動機が具体化すると、「なるほど、それなら動く理由がある」とお客様自身が気づきます。ここで初めて、心理は提案段階へと進みます。

STEP3 不満の奥にある願望を探る(欲求理解)

「今の家が狭い」「古い」「家賃がもったいない」。これらは現状への不満です。不満の解消はマイナスをゼロに戻すだけであり、強い決断の理由にはなりません。

重要なのは、不満の奥にある願望です。広い家で何をしたいのか。新しい住まいでどんな時間を過ごしたいのか。家族との関係をどう変えたいのか。ここに触れたとき、お客様の表情は変わります。

理解段階とは、理想の未来が具体的にイメージできる状態です。ここまで到達して初めて、提案は価格競争から抜け出します。

STEP4 前向きな理由を軸にする(行動納得)

前向きな建築理由が明確になると、心理は一段階上がります。多少の障害や条件差があっても、「やはり実現したい」という軸ができます。

家づくりは必要だからするのではなく、実現したいからするものへと変わります。納得とは説得ではありません。お客様自身が「その未来を選ぶ」と決めることです。

ここまで到達して初めて、建築理由のヒアリングは完結します。

具体例② 入居希望時期の深さ

入居希望時期は単なる日付確認ではありません。そこには覚悟の深さが表れます。「まだ先です」という言葉の裏には、不安や思い込みが潜んでいることがあります。一方で具体的な時期がある場合も、その理由を理解しなければ心理は前に進みません。時期のヒアリングは、決断の準備度を測る指標でもあります。

STEP1 未定の背景を理解する(注意確認)

「まだ決まっていません」という回答は珍しくありません。しかしモデルハウスに来場している以上、何らかの関心があります。未定の裏には、「年収が足りないのでは」「自己資金が不安」といった思い込みが潜んでいる場合があります。

これを整理しないまま商談を進めると、心理は前進しません。確認段階では、未定の理由を丁寧に把握し、不安を解消することが重要です。

STEP2 時期の背景を掘り下げる(興味提案)

「入学までに」「転勤までに」という明確な時期があっても、その背景を理解しなければ意味がありません。なぜそのタイミングなのか。その思いを共有することで、動く理由が明確になります。

営業は言われた通りに進める人ではなく、最良のタイミングを共に考える存在です。ここで興味が具体的な準備へと変わります。

STEP3 逆算で未来を可視化する(欲求理解)

入居希望時期から逆算し、土地探しや融資、設計、工事の流れを示すことで、お客様は初めて現実味を持ちます。

未来が具体化されると、「自分が建てる」という実感が生まれます。理解段階とは、将来の出来事が現在の行動に結びつく瞬間です。

STEP4 スケジュールへの覚悟を確認する(行動納得)

最後は、そのスケジュールで進める覚悟があるかどうかを確認する段階です。「なるほど」で終わらせず、「この流れで進めましょうか」と問いかける。

小さなYesの積み重ねが、最終的な決断につながります。納得とは営業の押し切りではなく、お客様自身の選択です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は8つのヒアリング項目のうちの2項目について、深さについても事例をもとに見てきました。ヒアリングは能力や才能ではありません。聞くべき項目と求められる深さが分かっていれば、一定の質のヒアリングは可能になります。

住宅営業における8つのヒアリング項目ごとに、4つの深掘り質問を通じて…

  • 注意確認で警戒を解き、
  • 興味提案で興味を生み、
  • 欲求理解で感情を高め、
  • 行動納得で行動を促す。

これを繰り返せばよいわけです。

しかし営業パーソンの中には……

内容はわかったけど、どう聞けばよいのか分からない…

このように感じている人もいるかもしれません。

また経営者やマネージャーであれば、

どうやって部下に教えればよいのかが分からない…

と感じているかもしれません。

安心してください!

住宅営業のヒアリングに関して、前回の記事と今回の記事の内容を、新人営業でも最短でヒアリングできるようになってもらうために「住宅営業ヒアリング曼荼羅チャート」にまとめて実践し始めています。

しかも具体的なヒアリングトーク事例付きです!書いてあるセリフを伝えて、返ってきた答えをメモしていくだけで、お客様から信頼を得ながら、トップ営業がお客様から聞き出している内容をヒアリングできるようになっています。

この用紙を手元に置いてヒアリングすることもおすめです(その際にはお客様に説明と価値を伝えてから)。

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ヒアリングに関しては、これまでに最もアクセスがあった記事であり、多くの住宅営業が悩んでいるのだと思います。そこでもし読者の方から一定の反響があれば、このヒアリング曼荼羅チャートについての全体像を一般公開したいと考えています。

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