住宅営業の「グレーな慣行」に終止符?2026年、住所変更登記の義務化がもたらす誠実な未来

昨日2月6日に東京都不動産業界の役員会合に参加した時に、住宅営業職の皆さんにとって非常に重要な情報を入手したので、緊急でコラム記事を書いています。

それが、

住居表示変更登記が無料になる

という情報です。

2026年4月~:「住所変更」の義務化

まず押さえておきたいのは、2026年(令和8年)4月1日から不動産の所有権名義人の氏名や住所の変更登記が完全に義務化されるという点です。

これまでは任意だったため、引っ越しても登記はそのままというケースが散見されましたが、今後は変更から2年以内に申請しないと、5万円以下の過料が科される対象となります。

手続きの簡略化

一方で、この義務化に合わせて手続きは大幅に簡略化されます。「登記官による職権変更」や、オンラインでの「スマート変更登記」といった仕組みが導入されることになっています。

つまり自己申請の負担や費用が大きく軽減されることになるわけで、業界内で「実質無料で済むケースが増える」と言われているのは、こうした利便性の向上によるものです。

「制度上の正論」と「銀行実務」のギャップ

「義務化され、手続きも簡単(かつ実質無料)になるなら、入居後に住所変更登記をすればいいのでは?」

と考えるのは、当たり前です。

しかし、現場にはまだ高い壁があります。それは銀行の実務慣行です 。ご存知の方もいるかもしれませんが、私は、熊谷商工信用組合という銀行の出身のため銀行側の立場もよく理解しています。

その立場からも言えることですが、多くの金融機関は現在も抵当権設定時の「登記住所」と「住民票住所」の一致を求めます 。これは債権保全や本人確認といった内部規定に基づくもので、法務局のシステムが合理的になったからといって、すぐに銀行のルールが変わるわけではありません。

そのため、制度上は入居後の変更が可能であっても、「やはり先行転入をお願いします」と言われる可能性が、現時点では依然として高いのが実情です。

補足:「先行転入」

「先行転入」とは、家が完成していないのに住民票を先に移すことをいいます。これは融資の手続き上、登記住所と住民票を一致させる必要があったための「苦肉の策」として慣行になっています。

このことは私も「分かるけど、どこか気持ち悪い」と感じ続けていることの一つです。もしかしたらあなたも私と同じように感じているかもしれませんね。

しかし今回の制度変更により、このグレーな運用が大きく変わろうとしています。さらに今回の変更は住宅営業そのものにも大きな影響を及ぼす可能性すら感じています。

営業トークは「説得」から「不安除去」へ

これまでは「皆さんやってますから」と、どこか後ろめたさを抱えながらお客様を説得していた場面でも、これからは「今は無理に住民票を移さなくてもいい流れに変わりつつあります」と、お客様の感覚に寄り添った提案ができるようになっていくと思われます。

またこのような知識を資金計画の時にお伝えすることができれば「ほかの営業は言ってくれなかったのに、この営業担当は知識もあるし、誠実で信頼できる」と思ってもらえるかもしれません。

もちろん、銀行ごとの判断が分かれる過渡期であるため極端な断定は避けるべきでしょう。しかし、最新の制度変更を学び、正しく理解して、自分なりの言葉で「お客様のコスト面や手続き面の不安や要望に応えていく」ことができれば、信頼と契約をいただけるはずです。

最後に:信用商売への回帰

今回の法改正の最も本質的な価値は、住宅営業が「嘘やごまかしをしなくてよい商売」に健全化されることにあります。お客様の感覚からは「おかしい」と不安を感じるような手続きが解消されます。

この流れは今後も加速していくはずです。その第一歩として今回の住所変更の義務化は、住宅業界がより誠実でクリーンな「信用商売」へと進化し、これまで以上に「真心営業」が求められる時代に突入する時代の大きな転換点と言えるのかもしれません。