コラム
【新シリーズ】新人営業のための基礎知識~許容応力度計算とは?~
いい家創り応援ネットの半澤です。
突然ですがお役立ちコラムに新しいシリーズを展開することにしました。
シリーズタイトルは「新人営業のための基礎知識」です。
なぜこのようなシリーズをスタートするのか?
それには理由があります。まずは以下の画像を見てください。
これは先日開催した、成功事例共有会の会員限定コラボセミナー( https://ieouen.net/5244 )の事前アンケートの結果です。
メインテーマが「耐震・免震・制震」ということで、周辺知識である「耐震等級」「許容応力度計算」「限界耐力計算」についての現状をお聞きしたのですが……
耐震等級はそれなりに説明できているものの、許容応力度計算に関しては95%の参加者が「お客様に質問されたら困る」「実はよくわかっていない」という結果でした。
本来は「自分で調べて勉強してください」なのですが・・・業務で忙しい中で時間を取ることも難しいと思います。
そこで新シリーズのコラムでは主に新人営業パーソン向けに「お客様から信頼を得るための知識の引き出しを増やす」コラムを提供しようと考えました。
初回の今回のテーマは、上記で挙げた「許容応力度計算」についてお伝えしていきます。
許容応力度計算とは?
住宅営業パーソンとして、お客様に信頼されるためには、お客様の興味関心の高い建物の構造や設計についての基礎知識を持つことが欠かせません。その中でも「許容応力度計算」は今後お客様から質問される可能性の高い重要キーワードになってきます。
基本概念の理解
許容応力度計算の基本概念は、建物にかかる力(荷重)が、使用する材料の強度を超えないようにすることです。
建物は、地震や風、雪などの外部からの力に加え、家具や人の重さなど内部からの力にも耐える必要があります。これらの力がすべて材料にかかるとき、その材料が壊れないように設計するために、許容応力度計算が用いられます。
つまり、材料の強度と建物にかかる力を比較し、安全な範囲内に収めることが目的になります。
許容応力度の定義
許容応力度とは、建築材料が安全に耐えられる最大の応力度を指します。応力度は、材料にかかる力をその断面積で割った値で表されます。ここでは具体的な計算式は省きますが、応力度が材料の許容応力度を超えないように設計することが重要になります。
許容応力度計算は、安全な住宅設計の基盤となるものです。住宅を建てる際には、さまざまな力が構造にかかります。例えば、地震による横揺れや風による圧力、積雪の重さなどです。これらの力が建物にかかるとき、その力を支えるために各部材がどれだけの強度を持っているかを正確に知ることが必要です。
許容応力度計算では、これらの力に対して部材がどれだけ耐えられるかを科学的に評価します。具体的には、使用する木材や他の材料の強度を測定し、それが建物の各部分にかかる力を十分に支えられるかを確認することになります。
許容応力度計算の基本ステップ
許容応力度計算を理解するためには、その具体的な手順を知ることが重要です。一連のステップを理解することで、建物の設計がどのようにして行われ、安全性がどのように確保されるかを把握することができます。
もちろんすべてを正確に記憶するのは難しいと思います。しかし最低限、大枠だけは覚えてください。
ちなみに興味本位で質問してくるお客様に対しては(詳細や難しい計算式をアレコレ伝えるよりも)大きな枠組みを分かりやすく伝えることの方が信頼を得やすいものです。
ステップ1: 材料の選定
最初のステップは、建物に使用する材料の選定です。これは、許容応力度計算の基礎となる非常に重要な部分です。使用する材料の種類や品質が建物の安全性に直接影響を与えるため、適切な材料を選ぶことが求められます。
木材の場合、その強度や耐久性、さらには湿気や温度変化に対する耐性を考慮します。また、材料の供給元や品質証明書を確認することも重要です。これにより、信頼性の高い材料を使用することができます。
ステップ2: 荷重の算出
次に行うのは、建物にかかる全ての荷重を算出することです。荷重には、建物自体の重さ(固定荷重)や家具・人などの重さ(可動荷重)、さらに自然災害からの力(環境荷重)などがあります。
これらの荷重を正確に計算することで、建物がどれだけの力に耐える必要があるかを把握します。特に、地震や台風などの外部からの力は大きな影響を与えるため、これらを考慮に入れた計算が必要です。
ステップ3: 断面性能の評価
荷重を算出した後は、建物の各部材の断面性能を評価します。断面性能とは、部材が荷重に対してどれだけの力を分散させることができるかを示すものです。
例えば、柱や梁などの部材の断面積や形状、材料の特性を基に、その部材がどれだけの力に耐えられるかを評価します。これにより、各部材が設計通りの強度を持っているかを確認します。
ステップ4: 応力度の計算
断面性能を評価した後は、実際に部材にかかる応力度を計算します。応力度は、部材にかかる力をその断面積で割った値で表されます。この計算により、部材がどれだけの力を受けているかを数値で確認することができます。
これが許容応力度以内であるかを確認することで、安全性を評価します。
ステップ5: 安全性の確認
最後のステップは、安全性の確認です。計算した応力度が、材料の許容応力度を超えていないかを確認します。もし超えている場合は、部材のサイズや材料の種類を見直す必要があります。
この確認作業を通じて、建物全体が設計通りの安全性を持っていることを確定します。これにより、建物が実際に使用される際に安全であることが保証されます。
まとめ
もっと詳しいことを理解したい場合は、2025年の建築基準法改正と許容応力度計算の関係についても調べてみてください。もしかしたら他社の建築知識が武器の営業パーソンは、そこまで突っ込んだ説明をしているかもしれません。
とはいえ「詳しければ良い」というわけではありません。お客様の知識レベルや興味関心に合わせて、必要な情報に絞って分かりやすく理解できるように伝えることが何より大切です。
というわけで今回のコラムで最低限の知識と大枠の流れを理解してもらえたら嬉しいです。また読んで終わりにするのではなく、お客様に分かりやすく伝えられるように話す練習をしてみてください。
そしてこのコラムが、自分で調べたり設計スタッフに詳しく聞いてみるなどの行動のきっかけになれば幸いです。
それでは次の「新人営業のための基礎知識」コラムもお楽しみに!