コラム
GX志向型住宅と補助制度の拡充
GX志向型住宅とは?
省エネ基準やZEHよりもさらに高い性能を有する住宅を「GX(グリーントランスフォーメーション)志向型住宅」と位置付けられています。
2024年11月25日には国土交通省から省エネ住宅の普及を目的に購入費の手厚い補助制度を拡充する方針を固めたという報道がありました。
断熱性能を高めるだけでなく、太陽光電池と親和性の高い蓄電器などの導入を通じて高エネルギー効率住宅にするためには従来の建物よりも300~400万円ほど高くなるとの意見もあり、その一部を補助する制度が検討されています。
住宅の性能については2025年4月には省エネ基準への適合が義務化され、2030年までにはZEH水準にまで引き上げることが決まっています。
GX(グリーントラスフォーメーション)とは?
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、環境負荷を減らしながら経済成長を実現するために、エネルギーや産業構造を抜本的に変革していく取り組みです。
「グリーン(環境)」と「トランスフォーメーション(変革)」を掛け合わせた言葉で、日本政府もカーボンニュートラル(2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにすること)を目指して積極的に推進しています。
戸建住宅の領域では「省エネ性能の向上」「再生可能エネルギーの活用」「ZEHの普及」「カーボンニュートラル建材の仕様」「スマートホーム技術の活用」などが対象となります。
GXは、単に「環境にやさしい住宅をつくる」ことではなく、エネルギー効率、快適性、そして経済的な利便性を同時に向上させることを目指しています。
これからの家づくりでは、省エネ性能や再生可能エネルギーを活用した取り組みがさらに加速して当たり前になり、GXが実現する「未来型の住宅」が標準となると言われています。
住宅性能と住宅営業
このように国の方針や補助を背景に、大手ハウスメーカーやビルダーが住宅性能の高さをアピールし続けてきた結果、お客様の興味関心だけでなく知識も豊富になってきています。
新人営業と言え、お客様へ分かりやすい説明が出来なければ信頼を失いかねない状態です。まずは正しい知識を身に付けて、お客様の知識レベルに合わせた説明ができるように学び続けなければいけません。
以下に簡単に用語の説明を載せますが、その計算方法やなぜ重要なのかなどについても自社の資料や建物性能に合わせてお伝えできるように準備をしておきましょう。
UA値
UA値は、「家の外側からどれだけ熱が逃げるか」を示す数値で、正式には「外皮平均熱貫流率」といいます。家の壁、窓、屋根、床などから熱が逃げるのを防ぐ性能を測ります。
たとえば、寒い冬に暖房を使っているとき、UA値が高い家では暖かい空気がどんどん外に逃げてしまい、部屋が暖まりにくくなります。一方、UA値が低い家では、熱が外に逃げにくいため、少ないエネルギーで部屋を暖かく保つことができます。
値は「W/㎡K(ワット・平方メートル・ケルビン)」で表され、小さいほど性能が良いです。省エネ基準を満たす家づくりでは、地域ごとに定められたUA値以下にすることが求められています。
C値
C値は、家にどれくらい隙間があるかを表す数値で、正式には「相当隙間面積」と呼ばれます。これは、家全体の隙間の面積を床面積で割ったもので、単位は「㎠/㎡」です。
たとえば、C値が2.0の家では、1㎡あたり2㎠の隙間があるということです。隙間が多いと、冬の寒い空気や夏の暑い空気が入り込み、室内の快適さが損なわれます。また、冷暖房の効率が悪くなり、エネルギーを無駄に消費してしまいます。
C値は小さいほど隙間が少なく、気密性が高い家と言えます。
Q値
Q値は、「家全体でどれくらいエネルギーを消費するか」を示す数値で、「熱損失係数」とも呼ばれます。UA値と似ていますが、Q値は家全体の断熱性能を考えるため、窓や壁だけでなく、暖房や冷房の効率も含めたエネルギー消費に注目しています。
この値も小さいほど断熱性能が高く、省エネ性が優れている家を意味します。ただし、現在ではUA値のほうが一般的に使われるようになり、Q値はあまり評価基準として用いられなくなりました。
それでも、断熱性能を知るうえで重要な指標の一つであることに変わりありません。
省エネ基準
省エネ基準とは、エネルギーを効率的に使い、地球環境にやさしい家を建てるために国が定めた基準です。日本では、地域ごとに気候条件が異なるため、それぞれの地域に合わせた基準が設けられています。
この基準には、断熱性能(UA値)や気密性能(C値)、さらには窓や設備の性能も含まれます。
省エネ基準を満たした家は、冬は暖かく、夏は涼しいだけでなく、冷暖房費が抑えられるというメリットがあり省エネ基準をクリアしている家は「次世代省エネ住宅」とも呼ばれることがあります。
ZEH水準
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)水準とは、家のエネルギー消費を大幅に減らし、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーで消費を補うことで、年間のエネルギー収支を実質ゼロにする家を目指した基準です。
具体的には、高断熱・高気密でUA値を0.6以下に抑えたり、省エネ設備(高効率なエアコンや給湯器など)を取り入れることが求められます。さらに、発電設備を設置することでエネルギーを自給自足します。
ZEH水準の家は、光熱費を抑えられるだけでなく、国から補助金が受けられることも多く、環境に配慮した暮らしを実現するために注目されています。
最後に…
大切なことは常に国の方針やトレンドを意識して、最新の情報をキャッチアップし続け、自分の知識をアップデートし続けていく姿勢です。
目的はもちろん「お客様の幸せな住まい、そして暮らしづくり」のためです。
この意識があれば自然とお客様へ分かりやすく伝えるためにはツールを用意したり、ロールプレイングを実施して伝え方の練習をするはずです。
ぜひこれからもお客様のためにも、自分のためにも、情報収集とその活用を意識し続けてください。