
コラム
注文住宅の“紹介”が生まれる心理と営業ノウハウの基礎
注文住宅の営業では「お客様の紹介」が強力な集客手段の一つです。しかし経験済みだとは思いますが「紹介してください」と言うだけでは紹介は生まれません。
そこで今回は「なぜお客様は人を紹介してくれるのか」、その裏にある顧客心理と営業が取るべき具体的なノウハウの基礎について、わかりやすく解説していきます。
紹介者の心理を理解する
注文住宅は人生で一度きりの大きな買い物です。お客様にとって家づくりは自分だけの大切な経験であり、家を建てたこと自体が自慢できる話題になります。

建築中や入居後に「どこで建てた?」「どこの工務店だった?」と周りから聞かれる機会も多く、自然と話題の中心になることがあります。さらに、家づくりには苦労や悩みも多く、「自分の体験を人に役立ててほしい」という気持ちが生まれやすいのも特徴です。
その他にも紹介してくれる人には様々な心理的な特徴が現れます。そこでここでは代表的な心の裏側をご紹介します。
① 自己肯定感を高めたい心理
注文住宅は一生に一度の大きな買い物です。決して絶対に失敗したくはありません。特に契約直後は「自分の選択が正しかった」と心から信じたい気持ちになります。そこで「○○工務店にお願いしたんだ」「良い会社でこれから家が建つのが楽しみ」と友人などに伝えることで「自分の判断は間違っていない」と自分自身を納得させるという行為をすることがあります。
つまり紹介という行動が「私は見る目があった」「賢い選択をした」という自分自身の決断を肯定することにつながるわけです。
② 信頼や好意を築きたい心理
人は「人の役に立つ人でありたい」という気持ちを持っていて、一番コストもリスクもなく人の役に立てる行為の一つが「良い情報をシェアする」ことだったりします。特に家づくりは多くの人にとって悩みの多いテーマであり、信頼できる情報は重宝されます。
「どこの工務店に頼んだの?」と聞かれたとき、答えるだけで相手から感謝されたり褒められると嬉しさと同時に、自分の決断が認められたと感じることもあります。
③ 共通体験を分かち合いたい心理
注文住宅の家づくりは、お客様にとって特別でかけがえのない体験です。同じ工務店で建てた、似たような悩みを解決した、といった共通の体験は、「同じ仲間」としてのつながりを深めるきっかけになります。
つまり紹介は、「自分と同じ体験を共有できる人を増やしたい」という欲求を満たす行為でもあるわけです。これは、家族や友人など親しい関係の人にほど強く働きます。
ということは紹介をお願いするときにも「◯◯様と同じ監督と大工を担当にします」のような、紹介者と新規のお客様を“つなげる一言”を用意する施策は非常に有効になります。
④ 感謝・恩返しの心理
お客様が「担当者が親切だった」「困ったときにすぐ動いてくれた」と感じたとき、その感謝の気持ちは「紹介」という行動に変わることがあります。家づくりは一人ではできない大きなプロジェクトであり、担当者の対応や人柄が強く印象に残ります。
もし「この人のお蔭で安心して、とっても良い家ができた!」という思いがあれば、「他の人にもこの担当者を紹介したい」「○○さんから紹介をお願いされたから、誰か紹介してあげたい」という感情が自然と生まれてくるはずです。
⑤ 優位性・マウンティングの心理
「自分は良い工務店や担当者を知っている」という気持ちが、無意識に紹介を後押しすることがあります。注文住宅は周囲から「どこで建てたの?」と聞かれることが多く、その質問に「いい工務店があるよ」と答えることで、自分の選択を誇りに感じたり、相手に対して優位に立つ感覚を持ったりします。
つまり紹介は“親切”という側面だけでなく、「私は詳しい人」「経験者」というポジションを周囲に示す手段でもあり、時にこの側面は友人や職場などより身近な人に対して強化されることがあります。

紹介を生み出す営業ノウハウの基礎
お客様の心理を理解しても、自然に紹介が生まれるとは限りません。紹介を引き出すには、営業側が「紹介したい」と思わせるきっかけをつくることが大切です。
ここでは、中小工務店の住宅営業の現場で使える、実践的で具体的な紹介促進ノウハウの中から基本となる3つのノウハウを紹介します。
① 語りたくなる体験をつくる
人は「人に話したくなる体験」をしたときに、自然と口コミや紹介という行動をしやすくなります。「担当者が自分の気持ちに寄り添ってくれた」「想定外の困りごとをすぐに解決してくれた」などの特別な体験は、周りの人に語りたくなるエピソードになります。
また営業は「親切」「丁寧」だけでなく、「驚き」や「感動」を提供する意識も必要です。例えば、契約後のフォローアップの電話や、引き渡し時の手書きの手紙など、小さな気遣いが「語りたくなる体験」をつくり、紹介のきっかけを生み出すことにつながります。
② 紹介しやすい環境を整える
お客様の多くは「紹介したい気持ち」はあっても、「営業にも友人にも、どう説明すればいいかわからない」と感じています。そこで営業は、紹介カードやLINEメッセージのテンプレートや声をかけるときのセリフなど、「紹介しやすいツール」を用意してあげることが大切です。
具体的には紹介カードを見せながら「このカードをお相手に渡してもらうだけで大丈夫です」と伝えるだけで、紹介のハードルはぐっと下がります。紹介者が「手間がかからない」「気軽にできる」と感じられる環境を整えることで行動につながりやすくなります。
③ 紹介者に“得”を感じさせる仕組み
紹介者が「紹介して良かった」と感じる仕組みづくりも大切です。営業は「紹介者限定の特典」や「◯◯様の紹介なら優先的に対応」など、紹介者の“立場”や“面目”が立つ演出を心がけるとよいです。
最近ではポイントを発行して一定のポイントが溜まったらプレゼントを渡したり、OB感謝祭への無料招待や特別表彰をするような会社も増えてきました。もちろん単に「ギフト券を渡す」といった金銭的なお礼だけでなく、日頃から感謝やお礼を伝えることで「紹介して喜んでもらえて、私たちも嬉しい!」と感じてもらう体験も、次の紹介を生む原動力になります。
まとめ
注文住宅の紹介は、「家や会社や担当者がいいから」という理由だけでは生まれません。お客様の中には「自分の選択を肯定したい」「人の役に立ちたい」「安心を分けたい」といった複雑な心理が隠れていることを理解して、紹介につながる体験や言葉がけ、仕組みを用意することが重要です。
もちろんいきなり「紹介してください」とストレートに頼むのではなく、「紹介したくなる関係性」を意識して「紹介したくなる」気持ちになってもらい「紹介しやすい」仕組みを準備することが、長期的に強い紹介の輪をつくるポイントになります。
最後に…
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